森友学園の国有地売却を巡る鑑定評価
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、財務省近畿財務局が、2016年4月に土地の売却価格の評価を不動産鑑定士に頼んだ際、ごみ撤去費8億1900万円に加え、高層建築を想定した地盤改良費約5億円も差し引くよう求めていたことがわかった。当時、学園の小学校は低層の2階建て一部3階建ての設計で着工済みだったが、売却価格が低くなるよう財務局が過大な条件を示した可能性がある。
「低層、5億円も引けない」 鑑定士、財務局の要求拒否
特集:森友学園問題
国土交通省関係者らへの取材で判明した。財務局から正式に依頼された不動産鑑定士は小学校が低層建築のため、「いくら何でも合理的でないと判断した」として、高層建築用の地盤改良費約5億円は引かなかった。
不動産鑑定士はまず、この土地で最も需要が高いのは低層の戸建て住宅地としての活用と判断。その際に必要な地盤改良費は「1戸当たり100万円程度」と考慮し、市場価格である「鑑定価格」は、9億5600万円と査定した。
その上で、ごみ撤去費8億1900万円などを差し引いた1億3400万円を売却価格のもとになる「意見価格」とし、鑑定評価書を16年5月30日に財務局に出した。財務省はこの価格のままで土地を森友学園に売った。財務省の要請通り5億円の地盤改良費を差し引いていた場合、土地は学園に無償に近い形で譲渡された可能性がある。
不動産鑑定士は、ごみ撤去費の8億1900万円については、国交省の見積もりに依拠したという。
国交省関係者によると、財務局…