獣医学部の規制緩和をめぐる構図
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が、国家戦略特区で獣医学部新設を認められた経緯をめぐり、前川喜平・前文部科学事務次官が「総理のご意向」などと書かれた一連の文書の存在を認める証言をし、野党は追及を強める構えをみせている。政府は学部新設を「岩盤規制の改革」と強調するが、その手続きの公平性が改めて問われそうだ。
特集:加計学園問題
約半世紀ぶりの獣医学部の新設について、政府は「規制緩和の成果だ」と強調する。菅義偉官房長官は18日の会見で「(国家戦略特区は)何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度。総理の指示のもと、スピーディーに(規制改革を)実現をすべく関係省庁が議論を深めるのは当然のこと」と強調した。
獣医学部の新設は「岩盤規制の改革」なのか。
特区での規制緩和にはもともと「お試し」の意味合いがある。特区で成功すればそれが「風穴」となり、全国に広がるきっかけになるからだ。
その成功例とされるのが保育士不足対策だ。保育士の国家試験は従来、年1回だった。そこで、3年間は試験を受けた自治体だけで働く「地域限定保育士」という資格をつくり、2015年度から特区内の4自治体に限定して導入された。そこでは保育士試験が実質年2回となり、保育士増に効果があったため、16年度から全国的に保育士試験が年2回行われるようになった。
公園内に保育所をつくれるよう…