新たに設置されたワイヤロープ(福井県の舞鶴若狭道、中日本高速道路提供)
高速道路各社が今年度に入って、暫定2車線区間で車線の間を区切るワイヤロープの設置を進めている。対向車線への車の飛び出しを防ぎ、大事故を避ける試みだ。
暫定2車線区間は、片側1車線の対面通行。いずれ4車線化するため、本格的な中央分離帯は設けられていない。多くの区間は10メートル間隔に設置されたポールで区切られている。
ポールしかない対面通行区間では、ポールの間をすり抜けて対向車線に車が飛び出す事故が後を絶たない。
国土交通省によると、2015年には高速道路の暫定2車線区間で対向車線に車が飛び出した事故が334件起き、うち12件で12人が死亡した。全国の有料高速道路9322キロのうち、暫定2車線区間は約27%に当たる2538キロ。暫定2車線での死亡事故の確率は4車線区間の2倍と高い。
国交省の呼びかけを受け、高速道路各社が4月から全国の計約100キロで試験的にワイヤロープの設置を進めている。
中日本高速道路(本社・名古屋市)は4月、暫定2車線区間のある岐阜県内の東海環状道(1・8キロ)、三重県内の紀勢道(1・1キロ)、福井県内の舞鶴若狭道(1・5キロ)の計4・4キロにワイヤロープを設置。これまでに車とワイヤロープの接触事故が4件起きているが、死者や重傷者は出ていないという。同社広報は「対向車線への飛び出しもなく、一定の効果を上げているようだ」と話している。(吉野慶祐)