ソフトバンクの田中
プロ野球は、ほぼ日程の3分の1を消化し、間もなく交流戦を迎える。「豊作」と言われた昨秋のドラフトで指名され、即戦力候補として期待を集めた大学、社会人出身のドラフト1位投手が、なかなか結果を出せないでいる。
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「社会人ナンバーワン右腕」との評価だったオリックスの山岡(東京ガス)は開幕からローテーションを守る。が、勝ちに恵まれない。
21日の日本ハム戦。山岡は得意のスライダーをほぼ使わず、直球で攻めた。理由は4失点した前回西武戦の反省から。「(前の試合は)スライダーが決まらず四球になって直球も崩れた。今日は直球でいけるところまで行こう」。試行錯誤の結果は6回2失点。福良監督から「粘って試合は作った」と評価されたが、打線が1点どまり。四つ目の黒星がついた。
この日同様、援護に恵まれない試合が続く。2戦目のロッテ戦は2失点完投も味方が無得点。3戦目のソフトバンク戦は6回無失点で勝利投手の権利を手にしたが、救援投手が逆転された。それでも恨み言を言わない。「プロは140試合以上ある。その時(白星)が来るのを待ちます」
5球団から外れ1位指名を受けたロッテの佐々木(桜美林大)は制球難の克服に挑んでいる。
18日の西武戦は6回を投げて6四死球。伊東監督から「プロとして最低限のレベルである、ストライクを投げるコントロールが必要」と厳しい言葉が出た。佐々木もセットポジションで投げる場面を増やすなど「四球を減らさないと」と課題と向き合う。25日のソフトバンク戦は6回無四球で2勝目。光明も見えてきた。
5球団が1位指名で競合した最速156キロ右腕、ソフトバンクの田中(創価大)は1軍登板がない。
春季キャンプでは新人で唯一、主力中心の組に入ったが、過去に故障した右肩の状態が上がらず、オープン戦の途中からファーム行き。現在はリハビリ組で調整している。工藤監督は「肩のコンディショニングをしっかりさせないとけがにつながる。投げていっても大丈夫な体づくりをしてから」と話す。
広島の加藤(慶大)は、デビュー戦こそ九回1死まで無安打無得点の好投で初勝利を挙げたが、その後は制球難に苦しみ、今は2軍で調整中。DeNAの浜口(神奈川大)は2勝をあげたが、その後3連敗した。中日の柳(明大)は23日に救援でデビューを果たした。
昨夏の全国高校野球選手権優勝投手の西武の今井(栃木・作新学院)、そしてヤクルトの寺島(大阪・履正社)ら昨夏の甲子園を沸かせた高卒のドラフト1位投手は全員、2軍で力を蓄えている。(データは5月25日現在)(藤田絢子、大坂尚子、甲斐弘史)