イタリア南部シチリア島タオルミナで開かれている主要7カ国首脳会議(G7)は26日、外交・安全保障分野に続いて経済分野について意見を交わし、初日の討論を終えた。焦点の自由貿易や気候変動対策の枠組み「パリ協定」を巡る意見の隔たりは解消できず、「米国第一」を掲げるトランプ米大統領の登場でG7の足並みに乱れが生じていることが浮き彫りになった。
G7、北朝鮮の脅威「新段階」 首脳が一致
貿易を巡って、近年のG7首脳宣言では自由貿易を重視し、一貫して「保護主義に反対する」との立場を表明してきた。だがトランプ氏は、これまでの多国間協定が「米国にとって不公平だ」との立場をとり、従来の表現を踏襲することに難色を示している。26日の議論でも、欧州各国の首脳から保護主義への反対を主張する意見が相次いだが、議論はまとまらず、首脳宣言に盛り込めるかは微妙な状況だ。
ただ各国は、政府による不透明な輸出支援がルールをゆがめていると指摘される中国などの新興国を念頭に、「自由で公平な貿易が重要」とすることでは一致した。グローバル化の負の側面として生じている各国内の貧富の格差に目配りすることでも合意した模様だ。
また、この日の議論を終えた議長国イタリアのジェンティローニ首相は、地球温暖化の問題について「パリ協定の問題は未解決だ」と述べた。パリ協定を巡っては、米国が脱退を含めて検討している。このため、日本を含む複数の国が、米国が対策を率先するよう期待を表明したものの、今回の首脳宣言で一致した立場を打ち出すのは難しいとみられる。(タオルミナ=斎藤徳彦、山尾有紀恵)