首脳会談に臨むマルタのムスカット首相(左)と安倍晋三首相=27日、バレッタ、岩下毅撮影
安倍晋三首相は27日夜(日本時間28日未明)、地中海の島国マルタを日本の首相として初めて訪問した。首都バレッタの首相府でムスカット首相と首脳会談を行い、海洋における法の支配を徹底するため連携することで一致した。
会談は約50分行われた。安倍首相は会談後の共同記者発表で「国際社会は北朝鮮の核・ミサイル開発や東シナ海、南シナ海情勢をはじめ、法の支配に基づく国際秩序に対する深刻な挑戦に直面している」と指摘。「法の支配の徹底に向けた連携で一致したことは、大変喜ばしい」と述べた。
両首脳は自由貿易の重要性も確認。ムスカット氏は記者発表で「日本とともに保護主義に強く反対する。時計を逆戻しすることなくグローバル化を促進したい」と語った。
安倍首相は首脳会談に先立ち、第1次大戦中にマルタを拠点に地中海で活動した旧日本海軍の戦没者墓地を訪れ、慰霊に臨んだ。外務省によると、1917年に地中海に派遣された駆逐艦「榊(さかき)」が魚雷攻撃に遭い、59人の犠牲者が出た。その後に亡くなった人も含め、71人がマルタの墓地にまつられているという。
首相は一連の訪欧日程を終え、28日夕に羽田空港に到着した。(バレッタ=内田晃)