インタビューに応じる経団連の榊原定征会長=東京都千代田区
経団連が発足して71年目に入っている。かつてほどの存在感がなくなったといわれる「財界総本山」。そのトップに求められる資質とは。
5月31日、経団連の定時総会が都内のホテルであり、財務相の麻生太郎があいさつに立った。「ベースアップなんて言葉は久しく聞いたことがなかったが、4年連続で実現した」と語り、安倍政権に対する経団連の協力をねぎらった。
政権の要請を受けて、経団連会長が賃上げを呼びかける「官製春闘」が定着した。春闘の担当はかつて「財界の労務部」といわれた日本経営者団体連盟(日経連)の役回りだった。その日経連が経団連と統合して、今年で15年になる。
新日本製鉄(現新日鉄住金)出身で、経団連会長として日経連との統合を主導した今井敬は振り返る。「経団連は歴史的に法人減税や規制緩和を求めてきたが、日経連の担当だった社会保障問題も、財界として一体で考える必要があった」。背景に、膨らむ社会保障費を何とかしないと、企業の競争力の足を引っ張るという危機感があった。
春闘、就職活動日程の見直し、働き方改革……。最近の経団連が目立つのは日経連が担った分野が多い。統合で会長の役割は重みを増し、現会長の榊原定征は政権への発信力を強める。
もともと再編機運が高まったの…