文響社が出版した「うんこ漢字ドリル」(1年生用)
すべての例文に「うんこ」を使った漢字練習帳が爆発的に売れている。文響社が出版した、その名も「うんこ漢字ドリル」(1~6年生)。3月の発売から2カ月でシリーズ累計200万部を突破した。なぜ、子どもの心をつかんだのか――。
「ホテルでひたすらうんこのことだけを…」ドリル考案者
東京都町田市の男性会社員(49)は5月初めに1冊購入した。大型連休中に、小学2年生の娘から「クラスのみんながやっている」とせがまれたという。
「勉強に関するモノを『欲しい』と言われたのは初めてで、驚いた。面白がって、あっという間にやり終えてしまった。次は、他の学年のものを買います」
文響社は「日本一楽しい漢字ドリル」とうたう。書店では山積みにされ、飛ぶように売れている。学習参考書としては異例のベストセラーで、累計発行部数は5月30日現在で227万8千部になった。お堅い学習参考書と大便の幼児語という意外な組み合わせが、子どもの興味を引きつけているようだ。
学習指導要領で定められた小学校6年間で習う漢字は1006字。それぞれに三つずつ、計3018の例文のすべてに「うんこ」が用いられている。
例えば、1年生で習う「本」は《先生がうんこのお手【ほん】を見せてくれた》、6年生の「純」は《うんこは、人間にとって不【じゅん】物なのだろうか》といった具合だ。
発案は2年ほど前。映像ディレクターの古屋雄作さん(40)が作った「うんこ川柳」の商品化を考えていた文響社の山本周嗣社長(40)が、「子どもが学ぶ漢字と結びつければ、受け入れられるのでは」とひらめいたという。
「質のいい学習参考書はたくさんあるが、子どもの『勉強嫌い』という状況は変わっていない。そこは課題でもあり、大きなチャンスでもあると感じていた」
企画段階で実施したインターネット調査では「下品だ」と否定的な意見も少なくなかった。試作品を複数の学習塾に持ち込み、児童や親の反応を繰り返し確認。迷惑行為やいじめにつながりかねない表現は避け、「教材としての質にこだわった」という。
試作段階で協力した東京都文京…