地図検索サイト「グーグルマップ」上で、大阪市内の私鉄の駅名が何者かに書き換えられ、「部落」と付け加えられた状態で表示されていたことがわかった。私鉄側は2日、「差別を助長する不適切な表現」として、グーグル日本法人(東京都)に削除を要請し、3日、グーグル社から「対応した」という連絡を受けた。同日午後3時過ぎごろから検索しても表示されない状態になったという。
私鉄によると、2日朝、書き込みに気付いた人たちから顧客窓口に電話やメールで指摘が寄せられ、大阪市や部落解放同盟大阪府連合会などとも対策を協議。グーグル社に正しい駅名の表示にするよう要請した。
村井康利・部落解放同盟大阪府連合会書記長は「非常に悪質で許されない行為。拡散を止めることも難しい。ネット上の差別も野放しになっており、部落差別解消推進法が制定されたが、さらに規制が必要だ」と話した。
グーグルマップを巡っては、2015年に東京都の警視庁本部が「警視庁サティアン」、広島市の原爆ドームが「核実験場」などと施設名が改ざんされる被害があった。インターネットに詳しいジャーナリストの井上トシユキさんは「通報から削除まで1日かかったのならネットの社会では遅い。ヘイトスピーチやマイノリティー差別をめぐる書き込みは拡散しやすく、削除依頼にはさらに速やかに対応すべきだ」と話す。