


学習参考書というジャンルで異例のベストセラーになった「うんこ漢字ドリル」は、なぜここまでウケたのでしょうか。すべての例文を考えたという映像ディレクターの古屋雄作さんと、文響社の山本周嗣社長に聞きました。
うんこ漢字ドリル、ついに200万部「質にこだわった」
――このような漢字ドリルを思いついた経緯を教えて下さい。
古屋さん 「2003年ごろから、『うんこをブリブリ漏らします』みたいに、うんこをネタにしたオノマトペ(擬音語、擬態語)を楽しむ『うんこ川柳』に取り組んでおり、ホームページで発表するなどしています。これを書籍化したいとか、子ども向け漫画雑誌の投稿コーナーにしたいとか、出版社に持ちこんだこともありますが、なかなか採用してもらえなかった」
山本社長 「古屋君とは元々友人。『うんこ川柳』も当時から何となく知っていて、2年ほど前にふとそれを思い出し、古屋君に持ちかけました。ただ、『うんこ川柳』を本にしても、いったい誰がターゲットなんだ? という疑問があった。こちらが『面白いだろ』と差し出すだけでは、社会には響かないですよね。悩みながら川柳を眺めているうち、ふと『漢字なら、子どもの学習にもつながるのではないか』と思いつきました」
――小学生が6年間で学ぶ1006の漢字全てに三つの例文。合計3018の例文は古屋さんが1人で考えたそうですね。
古屋さん 「1学年分ずつまとめて考えては編集部に持って行き、フィードバックをもらってまた考える、ということを繰り返しました。基本的に集中して一気に取り組みたいタイプなので、1週間くらいずつ『うんこ漬け』の期間をつくり、朝から晩まで考えていました」
――うんこの夢を見たり、追い詰められたりすることはありませんでしたか?
古屋さん 「それはありません…