珠算能力検定試験1級に合格した田中ひかるさん=奈良市内
珠算能力検定試験で最も難しい1級に、奈良県生駒市の小学1年生、田中ひかるさん(6)が合格した。今年2月、6歳1カ月の受験で当時は幼稚園児だった。日本珠算連盟の担当者は「学校で九九も習ってないのに素晴らしい」と話す。
1級は、計11桁の二つの数字をかける「かけ算」▽答えと割る数字が合計10桁になる「割り算」▽10桁の数字10個を足し引きする「見取り算」が計50題出題される。制限時間は30分で8割以上の正解で合格する。
例えば、こんな問題だ。
①986472×59621=
②6591584628÷7402=
正解は、①が58814447112②は890514。ひかるさんは、こんな難問をすらすら解く。
父親は奈良市富雄元町2丁目でそろばん式の暗算教室「あんざんファクトリーNeo」を主宰する田中秀樹さん(34)。ひかるさんが初めてそろばんを触ったのは3歳の時。「1+1」なら珠(たま)を動かせたが「1+2」になるとできなかった。珠を二つ同時に動かすことが、まだ理解できなかったようだ。
4歳になったばかりの2015年1月、久しぶりに触れると二つの珠を動かせた。秀樹さんは「そろばんは練習量がすべて。続けたら上達するかも」と、ひかるさんの練習をみるようになった。ひかるさんは教室の上級生が面倒をみてくれるので「みんなに会えるのが楽しかった」。
練習は日曜以外、毎日2時間ほど。3カ月もすると、3桁の足し算、引き算ができるようになった。九九は自宅の風呂に表を貼って覚えた。珠算検定は昨年2月に3級、6月に2級に合格した。暗算は全国珠算教育連盟の検定で7段に合格した。
ひかるさんは「頭の中にそろばんがあります」と話す。秀樹さんによると、数の概念は理解していないが、ゲームやパズルを解く感覚だという。塾の助手の大学生松石夏実さん(23)は「上級生のまねをするのが上手で、計算が速い。学校で算数を勉強する前に始めたので、数字への抵抗がないのも強み」と話す。
ひかるさんの好きなテレビ番組は「プリキュア」シリーズ。「将来は、そろばんの先生になりたい」と、はにかみながら話した。(筒井次郎)