河戸光彦会計検査院長(右)、一宮なほみ人事院総裁(左)らとの昼食会で歓談する天皇陛下=9日午後0時1分、皇居・宮殿「連翠(れんすい)」、嶋田達也撮影
天皇陛下の退位を実現する「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が9日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。明治以降で初めての退位が今後3年のうちに実現する。これを受け、政府は退位日について、2018年12月下旬のほか19年3月末も選択肢として本格検討に入った。今後、国民生活への影響や宮内庁の意見も踏まえて最終判断する。
天皇退位の特例法、参院で可決成立 退位は明治以降初
特集:これまでの退位をめぐる議論
退位日は、公布から3年を超えない範囲で首相ら三権の長や皇族でつくる「皇室会議」の意見を聴いて政令で定める。政府は国民生活への影響を最小限に抑えるため、18年12月下旬に陛下の退位と皇太子さまの即位を実現し、年が改まる19年元日に改元する日程を軸に想定している。
ただ、11月23日の新嘗祭(にいなめさい)や元日の新年祝賀の儀など秋から冬にかけて重要な皇室行事が立て込むことから、宮内庁内には天皇の代替わりは春ごろが望ましいとの意見がある。このため19年3月末に退位し、4月1日の年度替わりに合わせて即位、改元する案も検討する。いずれの場合も改元の半年から数カ月前に新元号を発表する方向だ。
天皇の退位は江戸時代の光格天皇以来、約200年ぶり。今回の特例法は陛下一代限りの退位と皇太子さまの即位を定め、退位後の称号は「上皇」、皇后さまは「上皇后」とする。政府は「将来の先例となり得る」と位置づけており、同様の特例法を制定すれば事実上、将来の天皇も一代ごとに退位できる。