京都府京田辺市の産婦人科医院で無痛分娩(ぶんべん)をして重い障害を負ったロシア国籍の女性(40)の母親(62)は代理人を通じ、日本の産科医療体制の改善を求める文書を公開した。「出産は複数の医者がいる体制のところでしてください」などと訴えている。
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無痛分娩の麻酔で母子に障害 京都の医院、別件でも訴訟
代理人弁護士によると、母親は30年以上、ロシアで医師として働いてきたというが、現在は京都市内で女性の介護をしているという。文書では「家族に起こった悲劇を伝えたいからでなく、妊娠している女性たちに、一人の産婦人科医しか働いていない個人医院で出産することの危険性を警告したいから」と理由を説明。「救急時に対応できる医師や新生児科の医師がいて、さらに複数の産婦人科医がいるところで出産すべきです」と訴えている。「出産の経過は複雑です。出産のどの段階ででも合併症は起こりえます」ともつづっている。
厚生労働省に対しても、「なぜ一人の産婦人科医しか働いていない産婦人科医院で出産することを許可しているのでしょうか。担当課は出産時に起こり得るリスクを知らないということはないでしょう。外科医と手術をする産婦人科医に一人で開業する許可を与えることは許せません」と主張している。(合田禄)