医師の地域偏在の解消に役立てるため、厚生労働省は、すべての医師の出身大学や研修先、診療科などを登録したデータベースを構築する。都道府県の担当者が検索することを想定し、都道府県出身の医師の誘致や定着への活用を図る。今年度中の運用開始を目指すという。
15日に開かれた、偏在対策を話し合う厚労省の医師需給分科会で示された。
医師は2年に一度、氏名や就業先などを届け出ることが医師法で義務づけられている。データベースは、卒業後に初期臨床研修を受けた施設や、専門医制度で専攻しているプログラムなども一元化して管理する。
データベースを使うと、卒業してからの年数や、地元にゆかりがあるなど、条件に合う医師を探せるようになる。ビッグデータとして、初期臨床研修の内容と定着率の関係を解析し、研修プログラムの改善にも役立てていく。
分科会ではほかに、大学医学部の地域枠の出身医師を対象とする地域医療支援センターと、自治医大出身医師の派遣計画を担うへき地医療支援機構の機能が一部重複していると指摘された。運営する都道府県に、統合も含めた一体的な医師確保対策を促すことを決めた。(野中良祐)