ボルダリングのユース全日本選手権を制した伊藤ふたば
2020年東京五輪の追加競技に決まったスポーツクライミングは、日本がボルダリングとリードで世界屈指の分厚い選手層を誇る。中でも関係者の注目を集めているのが、2002~03年生まれの「ユースB」と呼ばれるカテゴリーの女子だ。岩手の中学3年、伊藤ふたば(15)と茨城の中学2年、森秋彩(あい、13歳)。この2人の激しいライバル争いが日本のクライミング界を熱くする。
鳥取県倉吉市で5月にあったボルダリングの全日本ユース選手権。輝きを放ったのは伊藤だった。決勝の3課題全てを一発クリアして優勝。「緊張したけど、平常心でいけた」。最後は登り切った壁のホールド(突起物)を何度もたたいて喜び、笑顔がはじけた。
伊藤は、大人まで含めたボルダリングの日本一を決める1月のジャパンカップを史上最年少で制して一躍、時の人になった。家電メーカーのテレビコマーシャルで女優の綾瀬はるかさんと共演し、ユース世代では一番の有名人になった。
ユース日本代表の西谷善子ヘッドコーチが「女性特有の柔軟性を生かした登り方ができる」と話す通り、特長はしなやかさだ。フル代表の安井博志ヘッドコーチも「技術的なものは(大人と)全く遜色ない」と言う。ただ、そんな伊藤が「ライバル」と対抗心を燃やす存在がいる。同選手権で伊藤に次ぐ2位に入った森だ。
「クライミング」というと、国内では、ロープを使わず高さ5メートルほどの壁を登るボルダリングをイメージしがちだ。だが、五輪はロープを付けて12メートル超の壁を登った高さを争う「リード」と、15メートルの壁を登る速さを競う「スピード」を合わせた3種目複合で争う。ボルダリングで強さを見せる伊藤に対し、森が得意なのはリードだ。
4月に千葉県印西市であったリ…