車を走らせながら集める空間位置データのイメージ。こうしたデータを企業が協力して日本中で集め、将来の自動運転に生かす計画だ
車の自動運転に必要な3次元の「デジタル地図」づくりが本格化する。政府系ファンドの産業革新機構や三菱電機などが13日、2018年度までに国内すべての高速道路と自動車専用道計3万キロ分のデータを集めると発表した。自動運転のインフラ整備で先行し、国際競争で主導権を握る狙いだ。
自動運転の実用化には、刻々と変わる車線や信号機、周囲の建物などの立体的なデータが欠かせない。実際に車を走らせ、衛星で位置を正確に把握した上で、車載カメラやセンサーでとらえた周囲の情報と組み合わせる。集めたデータを、自動運転システムが扱いやすい「地図」として整備しておく必要がある。
こうした膨大な作業を効率的に進めるねらいから、昨年6月、三菱電機や地図大手ゼンリン、国内自動車メーカー各社などが出資して準備会社を設立。13日はこの会社に産業革新機構が13億4千万円を出資し、社名を「ダイナミックマップ基盤(DMP)」としてデータ整備に着手すると発表した。三菱電機出身の中島務社長はこの日の記者発表会で「DMPの価値は、オールジャパンの知見の集約にある」と語った。
産業革新機構は出資比率33・5%を占める最大株主になる。企業が囲い込んできたデータを共通で使うよう誘導し、成長産業を生み出したい、というのが政府の思惑だ。
自動運転が普及し、インターネットで相互につながった「コネクテッドカー」と結びつけば、さまざまな新たなサービスの可能性が開ける。平面の地図では米グーグルなどに先行されたが、3次元の地図で優位に立てれば、日本の自動車産業が先手をとりやすくなる。
ただ、自動運転向け地図でも、…