U20日本代表のFW久保=韓国・華城、大西史恭撮影
サッカーのユース世代の世界一を決めるU20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)で、ゴールも決めていなければ、先発出場もしていない。それでも、「日本のメッシ」「バルサ仕込み」と注目されるのが、日本代表の15歳、FW久保建英(たけふさ)(FC東京U18)だ。大舞台の経験を吸収する未来のエース候補は、30日の決勝トーナメントでのベネズエラ戦でも活躍が期待される。
21日の1次リーグ初戦の南アフリカ戦。久保は後半14分からピッチに立った。ファーストタッチで絶妙なスルーパス。いきなり決定機を演出した。そして、27分、MF堂安律(ガ大阪)の決勝点をアシスト。「思ったより緊張もしなかったですし、そんな時間も余裕もなかった。ファーストプレーで良い感じの入りができた。チームが結果を残すことが大事ですし、自分が結果を残すことも大事だと思っているんで」
卓越した技術は、10歳の時に入団テストに合格したスペイン1部の名門バルセロナ下部組織で培った。しかし、13歳だった2015年に退団。バルセロナが国際サッカー連盟(FIFA)の「国際移籍は原則18歳以上」という規則に触れ、バルセロナでの公式戦出場ができなくなったためだ。日本でプレーする道を選んだ。
「(日本に)戻る時は『なんで戻らないといけないの』と思っていた。でも、日本はカテゴリーがめまぐるしく変わるし、成長速度は自分のイメージより2、3倍速い。1年前はここ(U20W杯)に選ばれるとは思っていなかったし、帰ってきてよかったなと思っている」
U20W杯では「壁」も感じたという。0―2で敗れた1次リーグ第2戦のウルグアイ戦。久保はエースFW小川航基(磐田)の負傷で急きょ前半20分から途中出場。珍しくボールが足につかない場面が目立った。「前半は正直、本当にやれるのかなっていう疑問とか不安とかがあった。相手のリーチもそうなんですけど、1歩が速いんで。そっちの方が苦しかった」。それでも、後半は早いパス回しから決定機にも顔を出し、ピッチの中での高い修正力を示した。
30日の決勝トーナメントのベネズエラ戦では、出場が濃厚だ。小川が離脱したFW陣は3人だけ。ウルグアイと同じ南米勢との対決になるが、久保は「同じアジアといっても、例えば日本とサウジアラビアで全然違うように、南米というひとくくりではなく、ベネズエラを分析して対策を練りたい」。そして、ゴールへの思いも。「ここからは一発勝負なんで、悔いの残らないように。自分は前の選手なんで、毎試合ゴールを狙っています」(大西史恭)