イラク戦の帰国翌日に、難病を患う菊地秋也君(左)のお見舞いに訪れた日本代表MF原口元気(東京都板橋区、秋也くんを救う会提供)
サッカーの日本代表MF原口元気(ヘルタ)が15日、心臓の難病に苦しむ小学6年生、菊地秋也(しゅうや)君(11)のお見舞いに訪れた。W杯アジア最終予選イラク戦を終えて前夜にイランから帰国したばかり。それでも、原口は入院先の東京都板橋区の日本大学医学部付属板橋病院を訪ね、励ました。
秋也君は、心臓の壁が固くなり、十分に膨らめなくなる国指定の難病・拘束型心筋症に苦しむ。小学1年の時の心電図の検査でわかり、治療してきたものの、早期の心臓移植が必要だ。
受け入れてくれる米国の病院に行くには、治療費や渡航費用など1億2700万円がかかる。秋也君の一家では負担が大きく、救う会を作り、寄付を呼びかけている。これまで8800万円余が集まったが、まだ足りない。
J1浦和のサポーターだった父陽介さん(43)の影響で、秋也くんも浦和好き。「最後までボールをあきらめないで走りきるところが好き」と原口の大ファンだという。「一緒にスタジアムに見に行こう」と家族で話していた矢先に、病気がわかった。
「何かをしてあげたいと思った」。話を聞いた原口は自身のツイッターで支援を呼びかけたほか、直接お見舞いに訪れた。サイン入りのボールやスパイクのほか、「早くよくなってサッカーを一緒にしよう」と書いた色紙も手渡した。あこがれの選手との対面に緊張でなかなか話せなかった秋也君の手を取って「体調はどう」などと声をかけた。
「秋也君はトイレに1人で行くのも大変。自分が26歳まで元気に楽しくサッカーが出来るのは幸せなことだと思う」と原口は言う。帰り際に、W杯出場がかかる8月31日のオーストラリア戦で、「10点決めてください」と秋也君に言われた。「10点は無理だけど、1点は取る」と約束した。「約束することで、治りたいという秋也君のモチベーションになったらうれしい。約束を果たしたい」。活躍を誓った。