後半、先制ゴールを決め祝福を受ける原口(左から3人目)=長島一浩撮影
(2日、ベルギー3―2日本 サッカー・ワールドカップ)
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W杯の8強を、日本代表が最も手繰り寄せた4分間だった。
後半3分。自陣中盤でMF乾が相手の圧力をうまくかわして前を向き、球を前へ送った。MF柴崎が、相手最終ラインの背後のスペースを2度、3度と探しながら受けた。
そのとき、右サイドでMF原口が長い距離を走り出した。その足元へ、柴崎からの絶妙のスルーパスがぴたり。原口は追いすがるDFを冷静に見ていた。「切り返そうとしたが、それほど圧力がなかった」。スピードをいったんゆるめ、すぐに右足を一振り。逆サイドネットを揺らした。
3回目の決勝トーナメントで、日本が初めて挙げた得点。まだ相手は余裕の表情だった。そこへ勢いをゆるめず、たたみかけた。
4分後。敵陣中央で中途半端なクリアを拾ったMF香川が、ドリブルで勝負するそぶりをみせた。1人を引きつけ、後方でフリーの乾へ。乾が右足で狙い澄ましたミドルシュートが、ゴール右下へ突き刺さった。
1点目は原口の献身と運動量、そこに柴崎の技術が合わさって生まれた。2点目をもたらしたのは香川と乾のあうんのコンビネーション。どの要素も、日本人選手が持っている良さ。そんな風に西野監督や選手が信じてきたものだった。
だから原口は言う。「日本代表として進むべき道。こうやっていこう、というのはひとつ見えた」
開幕2カ月前の監督交代を経て迎えた今大会。乾は、「ぶっつけ本番で臨んだようなもの。それでもこのくらい良いサッカーはできるんだとは示せた」。
真っ向から攻め、自分たちの良さを出した。逆転負けはしたが、ベルギーの本気を引き出した。だからこそ、余計に募る悔しさ。それをかみしめ、30歳の乾が言った。
「これをまた4年続けて。この悔しさを、経験した選手、スタッフが4年後にぶつけてほしい」(藤木健)