欠陥エアバッグ問題で経営が悪化する自動車部品大手タカタが、来週にも民事再生法の適用を申し立てる方向で最終調整に入った。実質的な負債総額は1兆円を超え、製造業で戦後最大となる見通し。エアバッグの最初の異常破裂から13年。「創業家経営」による対応は後手に回り続けた。
タカタ、近く民事再生法申請へ 米KSSが再建支援
特集:タカタ製エアバッグ問題
東京証券取引所は16日、相次ぐ報道でタカタ株の売買を終日停止した。タカタ最大の取引先で、大株主でもあるホンダの八郷(はちごう)隆弘社長は、タカタからの説明はないとした上で「部品の安定供給を最優先でやってもらいたい」とだけ述べた。
タカタの創業3代目の高田重久会長兼社長ら経営陣はこれまで、債権者との話し合いによる私的整理での再建にこだわってきた。だが、1兆円超のリコール費用を肩代わりする自動車メーカーの間で、裁判所を介する透明性の高い法的整理を求める声が強まった。
財務の悪化や人材流出でタカタも姿勢を転じ、27日の株主総会前の申請に向け最終調整している。16日には、「あらゆる選択肢が検討されている」とのコメントを出した。米子会社TKホールディングスも、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する方向だ。
信用調査会社の帝国データバンクによると、国内の下請け企業は滋賀県などを中心に約570社。信用不安が起きないよう、再建の担い手候補もすでに決まっている。中国の電子部品大手「寧波均勝電子」傘下の米自動車部品メーカー、キー・セイフティー・システムズ(KSS)だ。タカタから主力事業を切り出して新会社を設立。残った会社に、リコール費用の支払い業務などを担わせることが検討されている。