安倍内閣の支持率の推移
国会閉会に合わせて実施された報道各社の世論調査で、安倍内閣の支持率が、いずれも下がった。朝日新聞社の17、18日の全国世論調査(電話)では、支持率41%で、前回(5月24、25日実施)の47%から下落。不支持率は37%(前回31%)に上がった。昨年7月の参院選以降の調査では支持率は最も低く、不支持率は最も高かった。
「共謀罪」法の採決強行や、安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部の新設を巡る問題への対応が影響したとみられる。
「共謀罪」法は、参院での委員会採決を省略して、本会議で採決する異例の形で成立した。朝日新聞の世論調査で、この与党の進め方について尋ねると、「よくなかった」は65%で、「よかった」の16%を大きく上回った。
加計学園の問題で、安倍首相は、国会で「私の意向は入りようがない」と説明したが、この説明に「納得できる」と答えたのは18%にとどまり、「納得できない」が66%に達した。自民支持層でも47%、公明支持層では6割近くが「納得できない」と答えた。
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朝日新聞の世論調査の結果からは、国会対応などの安倍内閣の政治手法への批判の大きさがうかがえる。
「共謀罪」法の賛否は、「賛成」33%、「反対」36%と拮抗(きっこう)した。しかし、参院での採決強行には65%が「よくなかった」。自民支持層でも48%、公明支持層では6割弱が「よくなかった」と答えた。無党派層では「よかった」7%に対し、「よくなかった」は70%に達した。
国会での政府の説明については69%が「十分ではなかった」と答えた。「十分だった」はわずか10%で、「共謀罪」法に、「賛成」の人でも25%にとどまった。一般の人への監視が強まる不安については、「大いに」と「ある程度」を合わせて「感じる」人が58%。4月に調査した時と、ほぼ同じ傾向で、一般市民の不安が依然、解消されていないことも浮き彫りになった。
一方、加計学園の問題では、「総理のご意向」と書かれた文書を怪文書扱いしてきた政権の対応について、74%が「適切ではなかった」と答えた。内閣支持層でも59%が「適切ではなかった」とし、「適切だった」は22%にとどまった。
この問題で「行政がゆがめられた」と証言した文部科学省の前川喜平・前事務次官らを、国会で証人喚問する「必要がある」と答えたのは58%。国会の閉会後も、引き続きこの問題の解明に「取り組む必要がある」も58%で、いずれも「必要はない」を大きく上回った。
加計学園の問題で、安倍内閣のイメージが「悪くなった」は54%。「変わらない」41%、「良くなった」1%だった。
今年1月の安倍内閣の支持率は54%。その後、森友問題や閣僚らの相次ぐ失言などが響き、じりじりと下がり、今回の調査で41%まで落ちた。不支持率37%との差も縮まった。
女性に限ると、支持36%に対し、不支持38%と拮抗した。年代別にみると、40代の下げ幅が比較的大きく、60代以上では、不支持が支持を上回った。無党派層の支持率は19%で、不支持率が49%に上っている。