センサーがついた装置(左)で作業の位置や力加減を計測し、実際のロボット(右)がデータを基に動きを再現する=北九州市の西日本総合展示場
産業用機械大手の安川電機(北九州市)は、工場の熟練作業者の技を簡単にロボットに再現させることができる技術を開発した。実用化できれば、技術者の確保が難しいものづくりの現場のロボット化が進めやすくなる。同社によると、精密な動きができる技術を体系的に確立したのは世界的にも珍しい、という。
開発した技術は「実演教示機能」。例えば、熟練作業者がセンサーがついた装置を使って研磨作業の「お手本」を実演する。装置が動いた位置や角度、力加減のデータをコンピューターが取り込み、ロボットが再現する仕組みだ。
これまでロボットに作業させるには特殊な装置で細かい設定をしなければならなかった。数日かかっていた。力加減の再現も難しかった。熟練作業者の作業をセンサーで感知し、ロボットに覚えてもらうやり方だと、2時間程度で設定ができる。製造工程の変更もしやすくなるという。力加減を検知するセンサーを同社が発売していたこともあり、今回の体系的な新技術につながった。
北九州市の西日本総合展示場で21日から開催している「ロボット産業マッチングフェア北九州」(23日まで)で、同社が実演展示をしている。
同社は水栓金具のほか、自動車部品といった金属の研磨や組み立て作業での活用を見込んでいる。今後、中小企業などと協力して実証実験を重ね、実用化を目指すという。
少子高齢化による人手不足や新興国の人件費上昇から、工場ではロボット化のニーズが高まっている。ただ、研磨など力の加減も重要となる作業は自動化が難しく、今でも多くが人手に頼っている。(田幸香純)