瀬田遺跡から出土した脚付きの編みかご=21日午前、奈良県橿原市、加藤諒撮影
奈良県橿原(かしはら)市の瀬田遺跡で、弥生時代後期(2世紀後半)のものとみられる台座のような脚が付いた編みかごが見つかった。奈良文化財研究所(奈文研)が21日、発表した。脚付きの編みかごの出土は全国初。脚部分は過去にも出土例があるが、用途が不明だった。土の上に直接置かないようにするためだったとみられる。
円形周溝墓(しゅうこうぼ)の溝で昨年6月に発見。脚は広葉樹のブナ科のツブラジイ製。上辺9センチ、下辺11センチ、高さ3・5センチの台形の板を四つ組み合わせ、植物で結んで脚同士とかごを固定している。かごは、ササ類の茎で編まれ直径約30センチ。底部分など部位によって茎の厚さや幅を変え、編み方を使い分けている。食料の運搬や貯蔵などに使った日用品と考えられるという。
脚部分のみの出土は弥生時代から古墳時代の出土品に類例があり、奈良市の平城京跡や山形市の藤治(とうじ)屋敷遺跡など全国で約50例ある。台形の板を組み合わせた「四方(しほう)転び」と呼ばれる形をしていることから「四方転びの箱」と呼ばれ、魚を捕る箱めがねや漏斗(じょうご)などと考えられてきた。台座のない編みかごも過去に各地で出土しているという。
佐々木由香・明治大学黒耀石研…