合唱コンクールに出演する旧制三高卒業生の田沢さん=大津市
旧制第三高校(現京都大学)水上部(現ボート部)で生まれ、滋賀県民らから愛される「琵琶湖周航の歌」ができてから、28日で100年となる。「未来にも歌い継がれてほしい」と県内では、ゆかりの人らがコンサートや記念周航などのイベントを開く。
■部員が歌ったのが始まり
周航の歌は、1917年6月28日、三高水上部が琵琶湖をボートで回って鍛錬する「周航」の途中に寄った旧今津町(現滋賀県高島市)の宿で生まれた。小口太郎部員が歌詞を披露したところ、当時学生の間で歌われていた吉田千秋作曲「ひつじぐさ」のメロディーに合わせて別の部員が歌ったのが始まりとされる。
ボート部の100年史などによると、琵琶湖周航は、1893年から三高水上部が始めた。戦中戦後の中断もあったが、現在の部員も周航に挑んでいる。
歌は、その後三高の寮歌として親しまれ、71年には歌手の加藤登紀子さんがカバーし、ヒット。滋賀県内でも広く歌われるようになり、ご当地ソングの代表的存在となっている。
歌の誕生地、高島市では25日、琵琶湖周航の歌を課題曲とする合唱コンクールが開かれ、80~90代の旧制三高の卒業生が立つ予定だ。昨春、約100人が集まった三高の同窓会でコンクール出場が提案され、今春34人が応じた。
その中の一人、田沢仁(まさし)さん(87)=大津市=は水上部OBで、三高の校章が入った応援旗とはちまき持参で出場する予定だ。自身も琵琶湖周航を体験しており、「きつかった思い出しかない」と笑うが「歌詞にある比良の山々や雄松の松原を見たとき、きれいな景色で感激した」と振り返る。「仲間と結びつきが強くなる歌。青春時代を思い出しながら元気よく歌いたい」と話す。