コスモスポーツ、ベレットなどガレージに並ぶ名車の前に立つ後藤忠勝さん=竹田市挟田
マツダコスモスポーツ、いすゞ117クーペ――。大分県竹田市の後藤忠勝さん(74)が旧車の収集を続けている。その数40台。「クラシックカーミュージアム510」と名付けたガレージを自宅に設けて、車好きに無料公開もしている。
キーをひねりアクセルをあおる。スターターを回すと、世界初の量産ロータリーエンジンを積んだコスモスポーツのエンジンが目覚めた。「少しバイクに似た排気音と宇宙船のような外観。かっこいいでしょ」と後藤さん。
ガレージには、いすゞ117クーペ、ベレット、ホンダS600、日産スカイライン、ヒルマン・ミンクスなど往年の名車が並ぶ。
後藤さんの車好きは、中学生のころ始まった。習った英語でカタログ希望と書いて本国の本社へ手紙を出す凝りようだった。GM、フォード、クライスラー、ベンツなどから実際にカタログが届いた。
初のマイカーは、大学卒業の際に友人から譲り受けた軽乗用車のマツダR360。1966年に県立中津北高で物理教師になった後、あこがれの117クーペにたどりつく。「車体が美しくて今もガレージで大切にしている」
その後も、道路脇で朽ちかけた名車を見つけると、所有者を探し出して手に入れたり、憧れの車が走っているのを見かけると追いかけて所有者に譲ってもらったりして、収集を続けた。
簡単な整備は自身でこなすものの、今も走行できる車は半分程度だ。後藤さんは「当時の技術者の思いがこもった車ばかり」と魅力を語る。一方で、まだまだ収集熱は衰えない。次のお目当ては、リンカーンコンチネンタルだ。
ガレージには、うわさを聞きつけたマニアが月10人程度訪れる。これらの車はいつか「次世代に引き継ぎたい」と考えている。
見学の際は後藤さん(0974・63・3604)に事前連絡を。(矢鳴秀樹)