受け入れ先の農家と通訳を介してあいさつを交わすミャンマーの女性たち=みなかみ町の月夜野農村環境改善センター
観光客らが農家に泊まり、田舎生活や農作業を体験する「農泊」が人気を集めている。外国人のリピーターも多く、国や群馬県は3年後の東京五輪を見据え、観光客の受け入れ態勢の拡大に力を入れる。地域の産業として根付き、農村部の活性化につながることが期待されている。
「日本の食べ物でダメなものはありますか」。5月中旬、群馬県みなかみ町の月夜野農村環境改善センターに地元農家が集まり、政府の国際交流事業でラオスとミャンマーから訪れた大学生や社会人たち約40人とあいさつを交わした。
農家1軒に数人ずつが分かれ、2泊3日で滞在した。自宅に観光客を受け入れて10年近くになるという稲作農家の杉木敬太郎さん(67)の自宅=同町羽場=には、ラオス人の男性3人が訪れた。
杉木さんが田植え前の田んぼを案内すると、公務員のポワンパスールさん(31)は「ここの景色は母国と似ているけど、農機具が最新鋭。勉強になる」と話した。
杉木さんは知人から「地域活性化のために」と受け入れを頼まれ、最初は戸惑いながら始めた。次第に人との交流が面白くなり、現在では年に数十組が宿泊する。学校の修学旅行で訪れる子どもたちもいる。
もぎたての野菜を生のまま食べさせたり、野菜の収穫やまき割りの体験をさせたり。「もうけを優先していたら続かなかったと思う。利益はほとんどないが、喜んでもらえるとうれしくて」と話した。
みなかみ町では2010年ごろ…