京都御所=2015年、京都市上京区、朝日新聞社ヘリから
天皇陛下が遠からず退位することになり、かつて天皇の住まいがあった京都や奈良から、「退位後はぜひこちらでお過ごしを」との声が上がりだした。実現の可能性はあるのだろうか。
皇室とっておき
「両陛下にはできるだけ京都に長くご滞在いただけることを念願している」。京都市の門川大作市長は6月の記者会見で、上皇ご夫妻となる両陛下の「御心(みこころ)に沿うことが重要」としたうえでこう話し、必要な手立てを検討し、国に意見を提出すると表明した。
京都では市や府、各界の代表でつくる有識者懇話会が2013年、皇族方に京都にも住んでもらい、日本の伝統や文化を守り育てる「双京構想」をまとめた。明治維新以降休止されている宮中行事の復活や、皇族方が出席する催しの招致などに取り組むという。門川市長はこの構想を踏まえ、上皇ご夫妻の滞在や宮中行事の実施に関し「どういう可能性があるのか議論する」という。新天皇即位に関する行事を京都で行うことも、「かねての願い」だと述べた。
また、平城京があった奈良県の荒井正吾知事も6月、陛下が退位後に滞在する「離宮」を奈良に造れないか、検討を指示したと明らかにした。離宮は「心身を休めてもらい、文化や歴史など学問的な興味を提供できる場」とし、「奈良として何かお喜びいただける貢献ができたらという気持ち」と言う。県によると、地元では明治時代にも皇室の離宮をつくる動きがあったが実現しなかった。
京都と奈良は、かつて天皇の住…