首相が描く憲法改正日程
東京都議選の自民党惨敗を受けて、安倍晋三首相が主導する憲法改正の日程が不透明感を増している。公明党の山口那津男代表が5日の記者会見で「政権が取り組む課題ではない」と強く牽制(けんせい)。自民党内にも慎重な議論を求める意見が続出しており、党改憲推進本部の保岡興治本部長は秋の臨時国会での「提出」について、正式提出ではなく憲法審査会に議論のたたき台を提示する意味と説明した。
安倍首相は、自民が惨敗した都議選投開票日の翌日の3日、毎日新聞のインタビューで、秋に召集見込みの臨時国会中に党の改憲原案を提出する時期を区切ったことについて、「変わっていない」と答えた。自らが設定した期限を遅らせた場合、都議選で落ちた求心力がさらに低下するのは必至で、当面は目標を変えずに進めたい考えだ。
これに対し、山口氏は5日の記者会見で、憲法改正についての自民党内の議論を見守る考えを示したうえで、「与党の枠組みがただちに憲法の議論につながるものではない」と明言した。公明と敵対した都議選で自民が惨敗。次期衆院選で自民の小選挙区候補が推薦を受ける公明票の重みが再認識され、政権内での公明の発言力が高まるとの見方が広がる。改憲には公明の協力が不可欠なだけに、官邸幹部は「クギを刺された。臨時国会で示すのは現実的ではない」と認めた。
保岡氏は推進本部の全体会議で…