71年前に公布された日本国憲法の原典。多くの企業からは改憲を性急に進めることには慎重な意見が出された
主要企業100社を対象に朝日新聞が実施した景気アンケートで、安倍晋三首相が目指す2020年の憲法改正について質問したところ、「時期にはこだわるべきではない」と答えた企業が39社に上った。回答は3択で、ほかでは「20年の施行をめざすべきだ」「改正する必要はない」がいずれも2社だった。半数を超える57社は3択には答えなかった。アンケートは5月29日~6月9日に実施した。
「憲法はこの国の根幹。早計に物事を進めるものではなく、世論の納得感が必要」(旭硝子の島村琢哉社長)や、「17~27年の10年間、審議すべきだ」(DMG森精機の森雅彦社長)、「大事なのは時期ではなく、きちんとした議論を経て合意を得ることだ」(JTBの金子和彦取締役)といった意見が出された。
政権の政策で評価するものを20項目から三つまで選ぶ質問で、「憲法問題」と答えたのは2社だった。「法人減税」の51社、「外交戦略」の34社などとは差があった。
一方、「必ずしも時期にこだわる必要はないと考えるが、様々な環境変化に合わせた改正について引き続き議論していくべきだ」(東京海上ホールディングスの湯浅隆行常務)など、議論の必要性には肯定的な考えを示す意見もあった。
同じ質問をした朝日新聞の5月の世論調査(電話)では、「時期にはこだわるべきではない」が52%、「改正する必要はない」が26%、「20年の施行をめざすべきだ」が13%だった。
経団連の榊原定征会長は首相の表明直後、「方向性を出したことは非常に意義あることだ」と話し、経団連として年内に憲法改正についての提言をまとめる意向を明らかにしている。(関根慎一)