保護者向けの就職説明会では、多くの父母らがメモを取りながら話を聞いた=6月10日、京都市北区の立命館大衣笠キャンパス
大学生の親の「就活熱」が高まっている。大学が開く保護者向けの就職説明会は盛況だ。一方、売り手市場が続き、人手不足が深刻になる中、親の就活熱に着目する地方自治体も出てきた。
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■卒業生に親が質問
6月10日、立命館大衣笠キャンパス(京都市)で開かれた保護者向けの就職説明会には、約300人が訪れた。大学の施設や学生生活を紹介する「オープンカレッジ」の一環で、就職支援の担当者が最近の就活状況を説明し、今春就職した卒業生が体験を語った。
大手不動産会社に入社した男性がインターンシップやOB・OG訪問が役立ったと話すと、熱心にメモを取る姿も。質疑では「就活中に親から言われて良かったこと、嫌だったことは」「筆記試験は何点取れば良いか」と質問が飛んだ。
終了後も、卒業生に個別に質問しようと列ができた。2年生の母親(57)は「親世代と就活の方法が違いわかりにくい。親の出る幕じゃないと思うけど、アドバイスできるよう情報は得ておきたい」と話した。
立命館大によると、各都道府県で開かれる父母会では20年以上前から就活の説明をしているが、3年前に衣笠、びわこ・くさつ、大阪いばらきの各キャンパスでの説明会を始めた。参加者は年々増加し、父親の参加も目立つという。
郵送で入社案内を入手していた親世代とは就活の方法が一変しており不安の声もあることから、いまの就活について基礎的な事から伝えるという。キャリアセンターの松原修・次長は「価値観の押しつけは良くない。つい口出ししたくなるものだが、見守る姿勢を大切にしてほしい」と話す。
就職情報会社「マイナビ」の2017年の調査によると、子どもの就活に「関心あり」と答えた保護者は8割にのぼり、15年の前回調査から10ポイント増えた。
近畿大は14年度から、入学式後のガイダンスで保護者に就活の説明をする。
土井良介・キャリアセンター次長は「少子化の影響からか親子関係が良く、親の意見に左右される学生が増えたため、親にも就活を理解してもらいたいと考えた」と話す。親世代は大手志向が強く、学生が優良企業でも知名度は低い会社に内定すると、「知らないところはやめておきなさい」と反対することがあるという。説明会では「企業名で判断しないで」「無関心・過保護にならないように」と心得を伝える。
大阪府立大も今年5月、1、2…
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