人手不足が深刻化するなか、刑務所での「就活」が注目されている。塀の中であった会社説明会や面接で、服役中に内定を取った受刑者もおり、仕事があればより確実な更生につながると国は期待する。ただ実際の雇用には二の足を踏む企業も多い。
■人手不足対策に
高松刑務所内の会議室で昨秋、ある会社説明会がおこなわれていた。
スーツ姿の企業の採用担当者の前には、硬い表情を浮かべてパイプいすに座る10人の受刑者たち。採用担当者は10分の持ち時間で、仕事の内容や求める人材像などを手際よく説明していた。受刑者からも「その日のうちに帰れる仕事か」と質問が出た。
説明会に参加したのは香川県内の建設会社など4社で、いずれも元受刑者を雇い、更生に力を添える「協力雇用主」たち。ある担当者は「最近はどの業界も人手不足。元受刑者もほかの人と大きく変わらない。やる気があって条件が合えばぜひ働いてもらいたい」ともらした。
高松刑務所に収容される受刑者の93%は再犯者で、その他の7%の初犯者も暴力団などの反社会的集団に所属していた受刑者が多い。全国の8矯正管区内で、初犯者が収容される刑事施設での同様の取り組みは以前からあったが、再犯者が多い施設ではなく、昨年2月から、高松刑務所が全国に先駆けて行っている。このときは受刑者の1人が内定。問題行動が多かった受刑者だったが、内定後はぴたりとやんだ。
当時、受刑者の就労支援を担当…