タカタの債権者説明会会場に向かう債権者=東京都千代田区
欠陥エアバッグによる経営難で民事再生法の適用を申請した自動車部品大手タカタと、タカタ九州、タカタサービスの子会社2社について、東京地裁は28日、再生手続きの開始を決めた。タカタは同日、東京都内で債権者説明会を開催。事業継続に欠かせない取引先の債権は保護し、従来通り支払う予定と説明した。
特集:タカタ製エアバッグ問題
説明会には、取引先や下請け企業などの債権者約300人が参加。出席者によると、高田重久会長兼社長が冒頭の数分、欠陥エアバッグによる事故の被害者や債権者への謝罪を述べた。
自動車メーカーなどの債権者は8月25日までに債権額を東京地裁に届け、タカタは11月27日までに再生計画案を地裁に提出する。
自動車メーカーが立て替えている巨額のリコール費用は現時点では未確定だが、これらの債権は、ほぼ回収不能になる見通しだ。ただ、各社とも費用を引き当て済みで、経営への影響は小さい。関心事はむしろ、製品の安定供給だ。
タカタの主力事業は、中国資本傘下の米キー・セイフティー・システムズ(KSS)が引き継ぐ。主な下請け先の債権については優先的に支払うという説明を聞き、エアバッグ部品を納める企業の男性は「今まで通りの取引が継続できるという話だった」と安心した様子。一方、事業継続に不可欠でないとタカタが判断した取引先は一定の債権カットを迫られるため、不公平だとの声も聞かれた。
タカタが現時点で把握する一般債権額は1412億円。最も多いのは、補償基金の未収分がある米政府の415億円、次いでトヨタ自動車が266億円となっている。(木村聡史、青山直篤)