犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が11日に施行された。「組織的犯罪集団」だけでなく、一般市民も適用対象になり、監視が強まるとの懸念も指摘される。実際に現場で運用にあたる警察は、どう受け止めているのか。
特集「共謀罪」
政府は適用の対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と説明してきた。犯罪を目的としてつくられた組織を「組織的犯罪集団」とするが、正当な活動をしていた団体や会社も、性質が「一変」すれば適用対象になるとの説明も国会であった。
ある警察幹部は「警察法に規定された警察の責務は『個人の生命や財産を保護するため、犯罪の予防や鎮圧、逮捕などで公共の安全と秩序の維持に当たる』。これに従って活動するだけ」と、一般市民も対象になることを否定しない。
だが、別の幹部は「現場ではほとんど使えない」と冷ややかだ。準備段階の行為を立件できるようになったとはいえ、摘発に必要とする捜査手法がないためだという。資金集めなどの準備行為を立証するための傍受や、警察官が犯罪組織の構成員になりすまして内部情報を集める「仮装身分捜査」などがそれだ。
傍受は2000年施行の通信傍…