「日本リウマチ友の会」創立35周年の記念式典に出席し、患者らの作品展を視察する皇后さま。傍らに立つのは当時理事長を務めていた島田広子さん(1995年、東京都千代田区、「日本リウマチ友の会」提供)
「まだ光の見えない方が大勢いらっしゃるので、ぜひそういう方たちにも寄り添ってくださいね」。そう話す皇后さまのまなざしは、真剣そのものでした。
皇室とっておき
6月11日、東京・丸の内の丸ビルホールで開かれた公益財団法人日本リウマチ財団の創立30周年を記念したレセプションでの出来事です。日曜の夕方でしたが、皇后さまは約30分間、リウマチ患者らと懇談しました。冒頭の言葉は、リウマチ患者らへのケアについて普及啓発に努めている看護師で名古屋医療センター付属名古屋看護助産学校教員、粥川由佳さん(37)にかけたものです。皇后さまは「患者に寄り添って生活について助言を与えてくださる方たちということで、お医者さまと共に看護師さんも大きなお仕事だと思います」と語りかけました。
リウマチ性疾患は、膠原((こうげん))病の一種で、激しい痛みを伴って関節が変形したりする「関節リウマチ」がよく知られています。同財団によると、関節リウマチだけでも患者数は全国で70万人、年間1万5千人が新たに診断を受けているといいます。同財団は、予防と治療に関する研究や、正しい知識の普及啓発などのため活動しており、今回のレセプションには患者や医療関係者など約50人が招かれました。
レセプションは立食形式。皇后さまは差し出された飲み物の中からオレンジジュースを手にとり、立ったままで高久史麿代表理事らのあいさつに耳を傾けました。その後、患者や医療関係者と懇談。そのうちの1人、杏林大学医学部付属病院の塩川芳昭教授(60)は5年前、膠原病を患っていた妻・美奈子さんを亡くしたことがきっかけで、財団に寄付をして医療者を奨励する賞を設けました。皇后さまは、賞の創設が医療者にとって「どんなに励みになりましょうね」と語り、塩川教授が持参した美奈子さんの遺影をみつめていました。
レセプションには、皇后さまが…
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