東海大菅生―早稲田実 円陣を作り、気合を入れる早稲田実の清宮(左)=神宮、北村玲奈撮影
(30日、高校野球西東京大会 東海大菅生6―2早稲田実)
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早稲田実の3年生は大会前、「最後の大会だからこそ普段通りやろう」と誓い合っていた。
東海大菅生との決勝で1点を追う二回2死二塁、右中間に同点適時三塁打を放ったのは副主将の福本だった。準決勝まで無安打。「清宮と野村らのあとを打つので相手が一息ついたところで嫌らしく打ちたい」という思いが実った。しかし、九回2死、その福本が最後の打者だった。
清宮が練習後にジムに通う際は、福本が代わりにミーティングの中心になった。それでも、福本は嫌な気がしなかった。「あいつが一番の能力を持っているけど、一番いばっていなかった。良いやつです」
1番を打った橘内は和泉監督から「1番を打ってほしい」と言われてきたが、自信が持てなかった。だが最後の夏は覚悟を決めた。「打たせてください」と監督に伝えて大会に臨んだ。決勝は無安打に終わったが、準決勝までは6割4分7厘で打線を引っ張った。
先発メンバーに名を連ねた5番西田と6番小西は中学時代に調布シニアで一緒に野球をしてきた。西田は「キヨは将来的にすごいやつ。中学も合わせて一緒にできたことは貴重な時間だった」と言う。小西は清宮と「本当に甲子園に行こうね。選抜だけじゃ物足りない」と語り合ったが、その目標はかなわなかった。注目を浴びた清宮とチームを支え合い、ともに重圧と戦った夏だった。
新チームは、今夏にエースとして成長した雪山と4番を務めた捕手野村のバッテリーが中心になる。雪山が「先輩たちには『すみません』と言いたい。来年こそは甲子園に行けるようにがんばります」と言えば、野村は「声をかけてもらってやりやすい環境をつくってくださった。本当にお世話になりました。ありがとうございました」と感謝の言葉を口にした。(坂名信行)