国税局が指摘した消費税不正還付の構図
東京・秋葉原の免税店運営会社が、消費税の免税制度を悪用し、消費税約70億円を不正に還付申告していたと東京国税局から指摘されたことがわかった。国税局は「訪日外国人旅行者に金製品を売ったように装っていた」としているが、運営会社は「適正な販売だった」として国税不服審判所に審査請求したという。
指摘を受けたのは、訪日客向けに家電製品などを販売する「宝田無線電機」(東京都千代田区)。追徴税額は重加算税を含め約100億円。ただし、国税局が還付に留保をかけたため、実際に還付されたのは数億円にとどまり、納付すべき税額は重加算税を合わせて約30億円とされる。
関係者によると、同社は17年2月までの約1年間に金製の工芸品を中国や韓国の訪日客に計約900億円で販売したとして、仕入れにかかった消費税約70億円の還付を申告した。
消費税の免税制度では、訪日客が免税対象の商品を国内で購入して持ち帰る場合、消費税が免除される。一方、免税店側の仕入れには消費税分が上乗せされていることから、店が申告すれば還付を受けられる。
国税局は税関の記録や仕入れ先への調査などから、同社が訪日客らに金製品を販売していたように装っていたなどと指摘。さらに同社が仕入れ先に金製品を戻す循環取引をしていたと認定したという。
同社は弁護士を通じて、「パスポートで相手を確認し、適正な手続きをとって取引をしており、身に覚えがない話だ。商品が循環していたという認識もない」と説明している。
民間信用調査会社によると、宝田無線電機の16年5月期の売上高は956億円で、前年から約26倍に伸びたという。(磯部征紀、田内康介)