全身を使ってハンマーを振り上げ、タイヤをたたく花咲徳栄の選手たち=埼玉県加須市
(10日、高校野球 花咲徳栄9―0開星)
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花咲徳栄(埼玉)は3年連続の選手権大会出場。昨年も一昨年も優勝した学校に敗退し、甲子園の投手のレベルの高さを痛感した。その壁を乗りこえようと、昨冬から取り組んできたのが「ハンマートレーニング」だ。
「一冬越えて、こんなに破壊力がつくとは」。夏前、岩井隆監督(47)は自チームの打線に驚きさえ感じた。
「破壊力」は昨夏以降、チームが掲げてきたテーマ。以前は、走塁やエンドランを絡めた「スモールベースボール」を掲げていたが、一昨年の選手権大会は準々決勝で、昨夏は3回戦で敗退。岩井監督は「150キロを投げる投手から連打は見込めない。全国で勝つには長打や『怖さ』が必要」と痛感した。
その怖さを身につけようと、昨冬から始めたのがハンマートレーニング。重さ10~15キロのハンマーを振り上げ、タイヤをたたく練習だ。振り下ろすだけでなく、反動を最小限に抑えることで「球を押し込む」感覚も身につける。多い日には50回を10セットこなし、部員は「腕も下半身も、全身がパンパンになった」と言う。
効果は目覚ましく、3月以降は本塁打を量産。春季関東大会では早稲田実(東京)を相手に、5点差を逆転。最後はサヨナラ負けを喫したものの、「以前だったら返せなかった」(岩井監督)点差をはねのけた。この試合で本塁打を放った野村佑希君(2年)は「リストが強くなり、打球がもうひと伸びするようになった」と語る。夏の埼玉大会でも西川愛也君(3年)が4本塁打を放つなど、「破壊力」をみせた。
緻密(ちみつ)な野球に「破壊力」を加え、甲子園に戻った花咲徳栄。10日の第2試合では開星(島根)から長短打を15本放ち、9―0で初戦を飾った。(笠原真)