花咲徳栄―広陵 七回裏広陵無死、中村は空振り三振に倒れる。捕手須永=林敏行撮影
(23日、高校野球 花咲徳栄14―4広陵)
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マスク越しに、花咲徳栄の捕手須永はその「腰」に目を光らせていた。
「開きが早い」
一回、今大会6本塁打を放っている広陵の3番中村との初対戦。120キロ前後のスライダーと130キロ台後半の直球で弱点を探った。8球目を左翼線二塁打にされたが、確信した。「たまたま打たれた感じ。中村は『緩急』に弱い」
緩急とはスピード差。直球の後に見せた約20キロ遅い変化球に中村の左腰が我慢できず、準決勝までより早く開いたのだ。
三回の第2打席。さらに遅いカーブとスライダーで1ボール、2ストライクとし、外角直球を2球見せる。決め球は外に逃げる118キロのスライダー。思惑通り、中村のバットは届かない。無双の打撃を続けていた右打者が、今大会初めて喫する三振となった。
大量点で勝ち上がった夏。大前提には、バッテリーを中心とした守りがあった。変化球の良い綱脇と150キロの直球を持つ清水。全ての試合を綱脇―清水の継投で作った。五回途中から救援した清水も七回に中村を空振り三振に切った。
2人の強みは制球力。1試合平均で四死球は二つ以下。無駄な走者を出さないから、失点は自然と少なくなる。綱脇は誇る。「コントロールは小学生のときから追い求めてきた。三振を取った打席は、すべてが狙い通りでした」
6試合で、1イニング3失点は1度だけ。あとは取られても1点か2点という安定感。決勝は野手陣も無失策で応え、99回の歴史を塗り替えた強打者にも、決定的な仕事は許さなかった。(山口史朗)
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○岩井監督(花) 「監督の指示を待たずに想像、実行できるチームだった。(決勝は)したたかに塁を進められた。一歩一歩よく駆け上がった」