激しく燃える火災現場=22日午前2時30分すぎ、秋田県横手市南町、山谷勉撮影
22日午前1時過ぎ、秋田県横手市南町の木造2階建てアパート「かねや南町ハイツ」が燃えていると、近所の男性から119番通報があった。この火事で、アパートに入居する20代から80代の男性25人のうち、3人が死亡し、10人が全身にやけどを負ったり、逃げる際に足や腰の骨が折れたりして病院に運ばれた。
ほかにも2人と連絡が取れておらず、県警が安否確認のほか、死亡した3人の身元の特定を進めている。入居者の約半数にあたる12人が生活保護を受けていたという。
横手署などによると、アパートは築50年ほどで、部屋はすべて和室6畳。1階の13部屋には11人、2階の15部屋には14人が入居していて、亡くなるか連絡が取れていない5人は全員2階に住んでいた。建物内には火災警報器があり、同日午前1時過ぎに作動し、その音で火事に気づいて逃げた人もいたという。
火は隣接する空き家2軒と、市の子育て支援施設「わんぱく館」の計3軒に燃え広がり、約5時間後に消し止められた。
アパートを管理する会社の役員は朝日新聞の取材に対し、アパートは食事提供がある下宿という位置づけだと説明。日曜祝日以外は朝食、夕食が出て、1カ月の家賃は食費込みで5万1840円だったと話した。
同社の佐々木安弘社長(48)によると、2年前に別のアパートで火災が起き、それ以降、室内では火気の使用を禁じ、消火訓練などをしてきたという。再び火災が起きたことについて「対策を練ってきたつもりだったが(死者が出て)大変残念だ」と話した。
現場はJR横手駅から約1キロ南東の市中心部に近い住宅地。近所の男性(79)は「午前1時すぎ、バチバチという音と、ボンボンという何かがはじけるような音で目が覚めた。窓の外が真っ赤になっていて、窓から見たら10メートル以上の高さの火が燃えさかっていた」と驚いた様子だった。
50代の入居者のおじ(70)=同市=は「建物は老朽化していたが、食事も付いているので安心していた。おいは携帯を持っているのに、今日は連絡がつかずに心配だ」と話した。