アルプススタンドで応援する平本一輝君=上田幸一撮影
(23日、高校野球 花咲徳栄14―4広陵)
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■広陵・平本一輝
あのバッテリーなら日本一になれる。そう信じてアルプス席で声をからした。
捕手の中村奨成(しょうせい)とは、小6の広島県選抜チームで出会った。中学は大野シニアでバッテリー。甲子園であいつに投げたかったから、一緒に広陵へ進んだ。
レベルは高かった。驚いたのが、名字の読み方が同じ同学年の「ひらもと」。直球を見て、かなわないと思った。奨成は1年夏から正捕手に。秋から平元銀次郎が相方になった。
今春の県大会後、メンバー外の3年はサポートに回ることになった。大半は受け入れたけど、僕は断った。まだ願いをかなえていない。広島大会は背番号11で1試合に登板。でも、ケガをしていた奨成には受けてもらえなかった。優勝の翌日、ベンチを外れることが決まった。奨成は「よう頑張った。お前の分も頑張る」と言ってくれた。結局、公式戦では一度もバッテリーを組めなかった。
甲子園練習で、あのマウンドから打者・奨成に投げた。右中間席へ打ち込まれ、カチンときた。次は内角高めを攻めたら、どん詰まりの投ゴロ。本気で悔しがる姿を見て、投手として認められた気がした。その後、あいつは甲子園のスターになった。
決勝の先発は平元。平本だったらいいのに、なんて思わない。よく投げてくれた。仲間には「ありがとう」と伝えたい。でも奨成だけには言わない。まだ、心残りがあるから。僕は野球を続ける。いつかまた、バッテリーを組むときまで、とっておく。
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中村に平本との関係を尋ねると、こう答えた。「一輝は、僕のことを一番知っている投手。捕手として成長させてくれたのは、一輝」(小俣勇貴)