テロ現場となったランブラス通りにはロウソクが並び、多くの花やメッセージが供えられていた。子どもの犠牲者もいたため、献花場には多くのぬいぐるみや玩具が置かれていた=22日、スペイン北東部バルセロナ、杉本康弘撮影
スペイン北東部バルセロナなどで起きた連続テロ事件で地元警察は21日、バンを暴走させて13人の犠牲者を出して逃走していた容疑者を射殺し、犯行グループ12人の摘発を終えたと宣言した。容疑者らは、より大きなテロを計画していたといい、過激派組織「イスラム国」(IS)とのつながりをはじめ、背景や動機の解明はこれからだ。
連続テロ容疑者射殺 バルセロナ西郊 自爆ベルト着用か
射殺されたのは、モロッコ人のユネス・アブーヤアクーブ容疑者(22)。バルセロナから逃走する際、盗難車で警察の検問を突破。その車の持ち主を殺害したうえ、4日間にわたって逃亡を続けてきたとされる。
地元警察は21日、バンの車内の検証や防犯カメラの映像などから、運転手は同容疑者だと断定し、写真を公表して情報提供を呼びかけた。午後に目撃情報が寄せられ、バルセロナから西へ車で1時間の町スビラッツにいるのが見つかった。
警察の呼びかけに対し、ブドウ畑で自爆ベルトのようなものを見せ、「アラーは偉大なり」とアラビア語で叫んだという。警官に射殺された後、自爆ベルトは偽物だったと判明した。ナイフを持っていたことも分かった。
地元警察は記者会見で、モロッコ出身でイスラム教の宗教指導者(イマーム)、アブデルバキ・エスサティ容疑者の死亡も確認したと発表した。犯行グループの若者らに過激思想を植え付けた主犯格とみられている。バルセロナの南西200キロのアルカナルにあった爆弾製造拠点での誤爆で2人が死亡しており、その1人だと判明したという。
一連の事件では、4人が逮捕され、バルセロナの南西120キロのビーチリゾート、カンブリルスで女性1人が犠牲になった乗用車の突入テロで、5容疑者が射殺されている。
盗難車の持ち主も含めて犠牲者が計15人にのぼった連続テロについて、地元警察は「犯行グループを司法の手のもとに置くことができた」と強調した。
スペインメディアによると犯行グループの大半がモロッコ人で、兄弟が4組。多くはバルセロナの北にあるリポイに住んでいた。逮捕された4容疑者は首都マドリードに移送され、22日、捜査を指揮する予審判事らの聴取が始まった。より大規模なテロ計画があったと証言しているという。世界遺産のサグラダ・ファミリア教会などが標的だったとみられる。(バルセロナ=青田秀樹)