8月31日のホーム戦でイランと引き分け、肩を落とす韓国の選手たち(赤いユニホーム)=AFP時事
運命の夜である。
サッカーのW杯ロシア大会アジア最終予選のA組では、現在2位の韓国が瀬戸際に立たされている。日本時間6日午前0時からの4位ウズベキスタンとのアウェー戦で勝てば、9大会連続の本大会出場が決まる。だが、引き分けると、3位シリアの結果次第でアジア5位決定戦に回る可能性があり、敗れると、「アジアの虎」と呼ばれるチームの予選脱落が決まる可能性もある。
「タシケントの奇跡に挑戦」
韓国の聯合ニュースは4日夜、こんな見出しを掲げ、前日練習の模様を報じた。韓国代表・申台龍(シン・テヨン)監督は「結果が良くなければプレーオフとなるが、準備しているか」と報道陣に聞かれ、「ウズベキスタンに勝つために来た。そんなことは全く考えていない」という強い言葉を返したという。
A組は、イランが勝ち点21で本大会出場決定。韓国が勝ち点14(得失点差プラス1)で2位。勝ち点12で3位シリア(同プラス1)と4位ウズベキスタン(同マイナス1)が並ぶ。そして、勝ち点9の5位中国(同マイナス3)も3位に浮上し、アジア5位決定戦から北中米カリブ海4位との大陸間プレーオフに進む可能性がある大混戦となっている。
韓国は引き分けた場合、シリアがイランとのアウェー戦に勝てば、3位転落。負けた場合、シリアが勝つと4位に後退し、その時点で連続出場は途切れてしまう。
今大会の韓国は、現役時代に西ドイツ代表として活躍したシュティーリケ監督を招いたが、最下位のカタールに逆転負けすると、2試合を残して6月に解任。しばらく監督不在の危機的状況となったが、7月、昨年のリオデジャネイロ五輪で男子を8強に導いた申監督が就任した。
だが、8月31日のイラン戦は0―0で引き分け、勝ち点1を積み上げるにとどまった。
韓国メディアは、アジア5位決定戦や大陸間プレーオフに出ることになった場合に、リーグ日程の再調整が必要になるKリーグ側の悩みも伝えている。
ただ、韓国の世論調査機関が4日に成人501人を対象にした調査では、66・2%がW杯出場を予想し、敗退予想は21・6%。これまで何度も底力を見せてきた韓国代表だけに、韓国ファンはまだ楽観的だ。(中小路徹)