堺市長選の構図と大阪都構想をめぐる主張
大阪維新の会(代表=松井一郎・大阪府知事)が、10日告示の堺市長選で、看板政策の「大阪都構想」を封印している。橋下徹氏が率いた4年前の前回選挙では、「堺をなくすな」と反発を招いて現職の竹山修身(おさみ)市長(67)に敗れ、大阪での「不敗神話」が崩れた。3選をめざす竹山氏は「都構想隠し」と批判する。
「今の時点で都構想の議論ができるような状況にはない」。3日、堺市堺区の南海堺東駅前の街頭演説で、松井氏は今回の市長選で都構想を争点にしないことを強調した。維新公認で市長選に立候補予定の前大阪府議の永藤英機氏(41)も「決戦の争点はただひとつ。(堺の)『停滞か、成長か』だ」と訴えた。
大阪市をなくして東京23区のような「特別区」に再編する都構想は、維新発足時からの看板政策だ。大阪府と大阪市は都構想の具体像を検討する法定協議会を設置。来秋に2度目となる大阪市での住民投票をめざしており、堺市長選は党勢拡大を図る重要な選挙だ。
その維新が、正面から都構想を争点に掲げないのは、前回2013年の堺市長選の反省がある。
維新の当初の想定では、都構想は大阪市だけでなく堺市も含めた広域の制度改革だった。ところが13年の市長選で、現職の竹山氏が都構想に反対して維新の新顔候補と対立し、堺市が特別区に編入されると訴えて「堺をなくすな」のスローガンで再選を果たした。当時の維新を率いていた橋下氏は「争点の設定の仕方を誤った」と述べ、都構想が敗因であることを認めた。
維新は今回、都構想を公約から…