10月22日投開票の公算が大きくなった衆院選をめぐり、自民党は安倍晋三首相(総裁)が打ち出した憲法9条に自衛隊を明記する改正案を選挙公約に盛り込む方針を固めた。党内には首相案への反発も残ったままだが、党憲法改正推進本部が近く公約の素案作成作業に入る。
安倍首相は5月、9条1項、2項を残しつつ、自衛隊の存在を新たに書き加える改正を提案。臨時国会で党の改憲原案として各党に示すため、党推進本部が9条を含む4項目を議論していた。推進本部の保岡興治本部長は19日、高村正彦副総裁と会談。推進本部が主導して、改憲についての公約素案をつくる方針を確認した。
推進本部幹部は「首相の9条改正案は現実的だ、と党内はみんな理解している。公約に入れ、国民に示さなければならない」と明言。20日に開かれる推進本部執行役員会で議論を始める見通しを示した。官邸幹部も「自衛隊明記の改憲は公約に入れる。党で作業してもらう」と語った。
自民党は2012年に、2項でうたう交戦権の否認や戦力の不保持を削除する内容の改憲草案をまとめている。今月の推進本部であった9条改正の議論では、草案にこだわる石破茂・元防衛相らから首相提案を優先することへの異論が出ていた。石破氏は19日のテレビ番組でも「(衆院選の)公示までに『自民党の案だ』と党議決定できるか、時間的に難しい」と述べ、首相提案通りに公約化することに難色を示した。
自民党は14年の衆院選公約の憲法改正の部分では「憲法改正原案を国会に提出し、国民投票を実施、憲法改正を目指す」としているが、具体的な改正条文には触れていない。