1次リーグで上海上港の選手と競り合う浦和の駒井(右)=AFP時事
サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦で、J1浦和は27日、敵地で上海上港(中)と対戦する。ガ大阪が優勝した2008年以来、日本勢はACLで優勝から遠ざかる。日本勢9年ぶりの決勝進出へ、元ブラジル代表選手を擁する難敵が立ちはだかる。
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上海上港は、Jリーグの札幌や東京ヴでプレーした元ブラジル代表FWフッキ、イングランド1部チェルシーで活躍した元ブラジル代表MFオスカルが所属。チェルシーの監督だったビラスボアス監督が指揮する。浦和は1次リーグでも対戦し、敵地で2―3、ホームで1―0だった。
浦和は7月にペトロビッチ前監督を解任し、堀孝史監督の下で立て直しのさなかだ。天皇杯、ルヴァン杯で敗退し、リーグ戦も優勝はおろか3位以内も厳しい状況だ。一方、ACLは唯一狙えるタイトルで、決勝トーナメント1回戦で済州(韓)、準々決勝で川崎に、劇的な逆転勝ちし、調子は悪くない。
07年に優勝を経験している浦和だが、当時のメンバーはMF阿部勇樹とDF平川忠亮しかいない。それだけにACLはほとんどの選手にとって欲しいタイトルだ。DF槙野智章は意気込む。「監督が代わっても、アジアチャンピオンになりたいという気持ちは変わっていない」
■Jクラブ支援策、少しずつ成果
02年に始まったACLでは07年に浦和、08年にはガ大阪と、日本勢が2連覇を果たした。しかし、現行の32チームが出場するようになった09年を境に成績は下降線をたどった。豊富な資金力で世界トップクラスの選手や指導者を次々と獲得した中国勢に押し出されたかたちだ。
Jリーグと日本サッカー協会は13年、ACL出場クラブを支援するプロジェクトを立ち上げ、勝利給や渡航費などを補助するようになった。試合間隔をあけられるようにリーグ戦の日程でも配慮し、土曜日開催が原則のなか、ACL出場クラブについては平日開催も可能になった。対戦相手となる海外チームの試合映像やデータの共有も進んだ。準々決勝の壁を、ここ5大会では3度突破するなど、少しずつ成果があらわれてきている。
ACLで頂点に立てば、各大陸王者が集うクラブワールドカップ(CWC)が待っている。昨年は開催国枠で参加した鹿島が日本勢で初めて決勝まで進み、レアル・マドリード(スペイン)と延長にもつれ込む接戦を繰り広げた。今年は開催国が日本からアラブ首長国連邦へ移り、日本勢が出場するにはACLを勝ち抜くしかない。浦和のGK西川は「自分たちも、世界と渡り合えると示したい」。身近な存在の躍進がモチベーションにもなっている。(河野正樹、清水寿之)
■ACL過去10年の日本勢最高成績
(左から開催年、成績、チーム名)
2007 優勝 浦和
08 優勝 ガ大阪
09 4強 名古屋
10 16強 鹿島、ガ大阪
11 8強 セ大阪
12 16強 柏、名古屋、FC東京
13 4強 柏
14 16強 広島、川崎、セ大阪
15 4強 ガ大阪
16 16強 浦和、FC東京