クルマを横滑りさせながらコーナーを駆け抜ける「ドリフト」走行。その派手さと美しさを競う初の世界一決定戦が30日、東京・お台場で始まった。大小のカーブが連続する特設コースにけたたましいスキール音が響き渡り、タイヤのゴムが焦げる臭いと白煙がたちこめるスタンドからギャラリーの歓声が上がった。
「キング」も歓喜 ドリフト初の世界一決定戦を東京で
ドリフトは、市街地を示威的に走る暴走族の活動が沈静化した1980年代ごろから、夜の峠道や港湾の産業道路などで目立ち始めた。その後、非合法な暴走行為が取り締まりの強化で公道から締め出される一方、「D1グランプリ」などサーキットでの競技大会が始まり、プロレーサーも輩出。さらに、ドリフトを題材にした漫画「頭文字(イニシャル)D」や映画「ワイルドスピード」シリーズの人気によって、国内外で認知が広がっている。
このようなドリフトの浸透ぶりを受け、ついに国際自動車連盟(FIA)が、発祥の地・日本で初の公認国際大会の開催に踏み切った。狭くて曲がりくねった道が多い日本ならではの特異なパフォーマンス走行が、世界的なモータースポーツとして正式に認められたといえる。
レースは、1台ずつ走る単走(ソロラン)と、2台が先攻・後攻を入れ替えて走る追走(バトルラン)の2種目。コーナーへの進入角度やスピード、派手さを点数化して得点を競う。日本・アメリカ・韓国などから24選手が出場。日産シルビアやトヨタ・アルテッツァなど定番の国産車に加え、ヒュンダイ・ジェネシスクーペやBMW・M3といった左ハンドル車も登場し、国際大会らしい顔ぶれとなった。大会2日目の10月1日に初代王者が決まる。(北林慎也)