今年2月に撮影されたカワウソ(琉球大学動物生態学研究室提供)
環境省は12日、国内で38年ぶりに野生のカワウソが見つかった長崎県の対馬で8~9月に本格調査した結果、ユーラシアカワウソのDNAを持つオスの生息が確認されたと発表した。専門家は「韓国から流れ着いた可能性が高く、四国にいたニホンカワウソの可能性は低い」と分析した。
カワウソ調査、国が開始「フレッシュなフンみつけたい」
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対馬のカワウソは、琉球大学が2月にツシマヤマネコの生態調査のために設置した自動カメラで撮影。7月の環境省の緊急調査では、オスとメスが1匹ずついる可能性があるとしていた。
環境省は8月28日から9月2日に対馬全島で本格調査、カワウソの可能性があるフン14個を回収し、4個からユーラシアカワウソのDNAを検出した。うち3個については、緊急調査でオスと確認されたものと同じ母系とわかった。同じ個体かどうかは不明で、生息頭数は「少数」とした。足跡も1カ所で見つかった。
検出されたDNAはいずれも、韓国やサハリンにすむユーラシアカワウソの亜種に近く、四国にいたニホンカワウソとは遠いと判明した。一方、緊急調査でメスの可能性があるとしたフンを詳しく調べたが、性別はわからなかった。
環境省は今後、複数の個体がいるのか、DNAをさらに詳しく解析する。自動撮影カメラによる追加調査も検討する。
調査代表者の佐々木浩・筑紫女学園大教授は、日本にはもともとユーラシアカワウソとニホンカワウソの2種がいたとする見解を披露した上で、対馬にはかつてユーラシアカワウソがいた可能性を指摘。今回のカワウソは「狭義のニホンカワウソの可能性は低い」としながらも、「日本にカワウソが復活したとは言える」と話した。(小坪遊、神田明美)