1998年長野冬季五輪のマスコット「スノーレッツ」。ふくろうをモチーフにした4体からなる
2020年東京五輪・パラリンピックの公式マスコットのデザイン案が13日、三つに絞られた。「過去の五輪のマスコットに比べれば、はるかにレベルが高い。かなり自信がある」と大会組織委員会の審査会は太鼓判を押すが、さて選ばれるのは、ゆるキャラ系? それとも、かっこいい系? 最終審査をするのは、全国の小学生たちだ。
マスコットは2042案の応募があり、9月末までに16案に絞られた。そして13日の審査会で、タレントの中川翔子さんら15人の委員が採点し、上位3作品が残った。
過去に類似の作品がないかどうかなどを調べる商標、意匠調査が今後必要なため、3作品ともまだ報道陣にも公開されていない。このため記者会見では、3作品の「ヒント」を求める質問が続いた。「ゆるキャラほどは、ゆるくない。ゆるキャラは線の甘さや、体形のバランスをあえて悪くするというのが特徴だが、そういったものよりはきっちりデザインされている」と夏野剛委員(慶大特別招聘〈しょうへい〉教授)。ファッションデザイナーの生駒芳子・副座長は「日本発信ならでは。カワイイ文化の中のものだけど、かっこいい。スポーツの祭典(のマスコット)なので」。
■「これまでの大会よりもレベルが高い」
最終3案いずれについても、2人は「これまでの大会のマスコットよりも、はるかにレベルが高い」と胸を張った。実際、過去のマスコットたちは、必ずしも地元住民の支持を得てきたわけではない。
昨夏のリオ五輪のマスコット「ビニシウス」は、記者が五輪開幕の約10日前にリオの空港に降り立った時、ギフトショップに山積みにされ、すでに「40%オフ」のたたき売り状態。大会後もかなりの数が売れ残っていた。
2012年ロンドン五輪の「ウェンロック」は、「近代五輪の父」クーベルタン男爵が五輪を創設するきっかけとなった大会が行われた英国の村の名前がつけられた。鉄から生まれたとする一つ目の生き物で、英国メディアやロンドンっ子からは「可愛くない」と評判はいま一つだった。
■12月上旬に公表後、投票へ
意匠や商標の調査を経た後、最終3案は、12月上旬に公表される。そして、最終的な決定を行うのは小学生だ。
組織委は全国の小学校や特別支援学校(計約2万校)などにはがきを送り、投票を呼びかける。希望する学校がクラス単位(対象は約27万クラス)で12月から来年3月にかけて投票する。一番票を集めた作品が、公式マスコットとして採用される。
夏野委員は全国の小学校の先生へのお願いとして、「なぜそのマスコットがいいのか、子どもたちに口に出して説明させて欲しい。日本は教育の場でディスカッションがあまり活発ではない印象。今回は正解のない授業なので、みんなが自分なりの意見を言って、多様性や意見の違いを感じて欲しい」と呼びかけた。(前田大輔、平井隆介)