打撃練習で打者を相手にボールを投げるアストロズのパウエル打撃コーチ補佐
大リーグのワールドシリーズへの最終調整が行われた23日、アストロズの打撃投手の一人に、中日で1994年から3年連続セ・リーグ首位打者を獲得したアロンゾ・パウエル打撃コーチ補佐(52)の姿があった。
「仕事の一部だから毎日投げているよ。選手に気持ちよく準備してもらうために、内外角の好きなところに投げるようにしている」。チームは今季のレギュラーシーズンで全30球団トップの打率で最多安打、最少三振と隙のない打撃を誇った。「パワーもあるし、相手にとってやっかいな打線」と胸を張る。
頂点をかけた戦いは、現役時代も含めて初めてだという。「近くまでいったことはあるんだ。10月8日。ダメだった」。日本で3年目だった94年、中日と巨人がシーズン最終戦でリーグ優勝をかけた「10・8」決戦のことだ。
その試合で3打数2安打のパウエルは打率を3割2分4厘とし、広島の前田智徳の3割2分1厘を上回って初の首位打者を獲得した。「でも試合に勝つことはできなかった。交換できるのなら、無安打でタイトルを逃して、チームの勝利が欲しかった。いまでも忘れられない」と語る。
選手として日本シリーズで戦えなかったが、指導者としてワールドシリーズに臨む。「こんな経験ができるなんて信じられない。ドジャースは好投手、我々には好打者がそろっている。甘い球を逃さず、打ち損じないようにしたい。楽しいシリーズになるはずだ」(上山浩也)