早稲田実の清宮
プロ野球の新人選手選択(ドラフト)会議が26日に行われる。高校生では、高校通算最多とされる111本塁打を記録した早稲田実の清宮、今夏の甲子園で大会新の6本塁打を放った広陵の中村ら強打者が1位候補に挙がる。大学・社会人では、最速152キロのJR東日本の左腕田嶋ら即戦力の投手がそろった。
一番の注目は清宮になる。スター性も抜群で、1989年の野茂英雄、90年の小池秀郎の最多8球団の競合を超えるかどうか。プロ志望表明の会見では、高校の先輩王貞治さんのプロ野球記録868本塁打を目標に掲げた。「プロは厳しく、やっていけるのかなという不安がないわけではない。そういう思いを消すためにも厳しい世界に身を置いて鍛錬できれば」と運命の日を待つ。
同じ左打者で評価が高いのは履正社の安田。高校通算65本塁打の長打力に加え、U18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で打率3割超と木製バットへの対応力も見せた。広島は地元の中村の1位指名を公言した。肩が強く、打てる捕手として魅力がある。捕手では左の強打者、九州学院の村上も上位候補だ。
投手では、最速151キロの青藍泰斗の石川の評価が抜群に高い。甲子園経験はないが、バランスのとれた体と力強い投球に将来性を感じる。また、W杯組では、ともに150キロの直球を持ち、フォークが武器の花咲徳栄の清水、一級品のチェンジアップを操る秀岳館の田浦がいる。ほかにも星槎国際の本田、熊本工の山口、市西宮の山本らも好素材だ。
社会人ナンバーワン左腕はJR東日本の田嶋だ。佐野日大高では選抜大会で活躍したが「高卒でプロは難しい。プロに近いレベルで自分を磨きたかった」と社会人に進んだ。しなやかな腕の振りから切れのある直球と多彩な変化球を操る。大学左腕の一番手は立命大の東で、身長170センチの体から最速150キロを投げる。三振が取れる投手だが目標はヤクルトの石川。「タイプは違うけれど、小柄で勝負してまだ現役。投球術を見習うところがある。プロではパワーだけじゃ勝てない」と先を見据えている。
最速157キロの剛腕はヤマハの鈴木。ゆったりとしたフォームから剛球を投げ、抑え投手としての期待度は十分だ。日立製作所の鈴木も185センチの長身から151キロを投げ、仙台大の馬場も最速155キロで評価が高い。力強さではNTT東日本の西村、中大の鍬原の名が挙がる。左腕ではホンダの永野が150キロ超の本格派で、明大の斉藤はスリークオーターの貴重な存在だ。東大の宮台が指名されるかにも関心が集まる。
野手では俊足好打の日立製作所の田中に定評がある。兄は広島で活躍する広輔。一昨年のドラフトで指名から漏れた悔しさを糧に攻守に磨きをかけてきた。東京六大学で歴代3位の21本塁打をマークした慶大の岩見も「僕から打撃を取ったら何も残らない。プロに入れれば当然、打をアピールしたい」と指名を待つ。(坂名信行、小俣勇貴、橋本佳奈)
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■今秋の主なドラフト候補
左から名前、出身校、位置、投打
【高校】
清宮幸太郎 早稲田実(東京) 内 右左
安田尚憲 履正社(大阪) 内 右左
中村奨成 広陵(広島) 捕 右右
石川翔 青藍泰斗(栃木) 投 右左
村上宗隆 九州学院(熊本) 捕 右左
山本拓実 市西宮(兵庫) 投 右右
清水達也 花咲徳栄(埼玉) 投 右右
田浦文丸 秀岳館(熊本) 投 左左
山口翔 熊本工 投 右右
本田仁海 星槎国際(神奈川) 投 右左
【大学・社会人】
田嶋大樹 佐野日大(栃木)―JR東日本 投 左左
鈴木博志 磐田東(静岡)―ヤマハ 投 右右
鈴木康平 千葉明徳―国際武道大―日立製作所 投 右右
東克樹 愛工大名電(愛知)―立命大 投 左左
馬場皐輔 仙台育英―仙台大 投 右右
鍬原拓也 北陸(福井)―中大 投 右右
斉藤大将 桐蔭学園(神奈川)―明大 投 左左
宮台康平 湘南(神奈川)―東大 投 左左
田中俊太 東海大相模(神奈川)―東海大―日立製作所 内 右左
岩見雅紀 比叡山(滋賀)―慶大 外 右右